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マジェルカ、障害者就労支援事業所へ(その3)

前回記事の続きです。

 

その前に・・・

 

就労支援事業所開始の開設にあたって配置が必要な「サービス管理責任者」通称サビ管、

見つかるまでなかなか苦労したわけですが、この度ようやく決まって事業申請の準備を

本格的に始動したところだったわけですが、そのサビ管さんに辞退頂くという事態に

(うまいシャレですが笑い事じゃありません・・・)

 

ということでここ最近書いてきた話はなかった事に。。。

 

え?ふざけんな?

わかりました、では次の手を考えるだけです。

 

もし最悪の場合には記事を全部削除して行方をくらます事にします。。。

 

なんていいつつ、立てた事業計画を修正し目論んでいた新規事業開始のスケジュール

がずれる事には間違いがなさそうですが、やる意思には変わりありません。

 

正直一時は途方にくれましたが、今はもう腹がすわりました。

この数日で次の手を考え、動き、その解決方法もほぼ固まりましたし、それはむしろ

結果的に以前よりも前向きな形になったのではとも考えています。

たぶん。

 

ということで予定通り続き書きます。

 

前回は、マジェルカが障害者支援の現場をやらない、やりたくなかったという事を

書きました。

 

では、なぜそんなマジェルカが「障害者就労継続支援A型事業所」を開設しようと

決めたのか。

 

その大きな理由の一つは、今まで6年間継続させてきたこの「マジェルカ」を、この

先も続く場所にしたいからです。

 

今現在事業をやっている立場としては本当は言うべき事でも、また、言いたい事でも

ないのですが、今回ここでは出来るだけ本当をお伝えすることで、理解をして頂ける

のではと考えているので書きますが、残念ながらマジェルカはまだまだ盤石な経営だ

とはいえません。

 

それは私の経営に関する能力や資質によるところが大きいのは認めているので、今

そこは突っ込んでもらわずとも結構。

 

この分野、可能性はたくさんある(と思っています)。

だから、もし私でない誰かがこのマジェルカを運営していたら今頃はもっともっと

ダイナミックな活動になっていたかもしれないと思う事もしばしば。

(“たられば”を言ったところで実際にはなんの意味もないのはわかってますが)

 

とはいえ今日までなんとか6年間続けてきました。

でも、いまだにもろい状況を克服しきれてはいないのが実際です。

 

そんな毎日でしたから、正直これまでに何度マジェルカをやめてしまおうと考えた

ことか。

そして、この先いつかまた「あーもう疲れた・・・」とマジェルカを終わらせる事は

あると予想はできます。

それは、意図せず私の身に何かがあった場合でも同じ事。

今の世の中何が起きるかわかりません。

 

でも、前回の記事でも書いたように、もともとマジェルカは私が個人として興味を

もち、やりたいと考えて始めた事業。
ですから私が続けられなくなったら店をたためばいいだけの話。

 

なのですが、今となってマジェルカは私一個人の手を離れてしまい、私が私の意思

だけで好きにして良いものではなくなってしまったような感覚をもっています。

なんだか自分でも変な話だと思いますがわかってもらえますかね?

それが私にとって幸せなのかそうでないのかは分からなくなる時もあったりします

がそれはさておいて。

 

それは自意識過剰にも聞こえるのかもしれません、でもいつからかそういう目で

マジェルカをみています。

 

そして同時に間違いないのは、そういう意識だったからこそ続けてこれたのだと

いうこと。

 

そんなマジェルカが、私と一緒になくなってしまうのではなく、私がいなくなっても

続いていく仕組みを作っておきたいと考えたのが今回の決心の理由の一つ。

 

その為には制度を利用するという事に、頭ではなく気持ちの部分で持っていた抵抗感

は拭えました。

 

そしてそれだけではなく他の理由もあります。

 

マジェルカではこれまでにアルバイトや、時にはボランティアという形でスタッフと

して関わってくれた方が何人もいました。

今もいます。

 

その中には障害をもっているという方も何人かはいました。

そんな方が来るのもマジェルカが障害のある方々と関わるこんな事業だからこそ

なのでしょう。

 

とはいえ、障害があるから関わってもらったのではなく、あくまでもこちらが求める

働き方を、こちらが認められる範囲で行ってくれると判断したから関わってもらった

のであって、障害がなかろうがそれが望めなければ関わってもらうことはしません。

 

マジェルカには役割と目的があり、それを果たす為に求められる働き方というものが

あります。

その元々のマジェルカの役割と目的を差し置いて、わざわざ新たに別の役割として

障害のある方々のお仕事を作ったり環境づくりをするということは考えてなかったし、

本来部分でやれていない事もある中で新たに手を広げる余裕もありませんでした。

 

でも、そんな関わってくれた方たちのその後はというと、ほとんどは残念ながら

マジェルカで働き続けていく事は出来ませんでした。。。

 

それは、彼女たちが私が求める働き方が出来なかったから、というより、私の求める

働き方というのが彼女たちにとって負担が大きすぎたからだと今では考えています。

 

小さな組織だと、そこに関わる一人一人の仕事の範疇は多く責任も大きくなるものです。

しかもマジェルカではその少ないスタッフで、やらなければならない事に加えてやりたい事

も多く、ショップという商売柄もあって常に日々時々の状況で判断し対応する事柄は多く、

その一つ一つも細かいのです。

 

そしてこのご時世には引かれるかもしれない言い分ですが、かけるコストに対しては

少しでも高いパフォーマンスの発揮を望む、平たくいえば給料払ってるんだから出来る

だけ働いてもらうってのは、それが余裕がない中でかけるコストだと尚更になります。

 

ダイバーシティが叫ばれるなかでそんな人たちをしっかりと受け入れて結果を出す職場も

世の中にはあるのにそれがマジェルカの実際。

残念ながら彼女たちが辞めてもマジェルカでは今は仕方がないのだと思っていました。

 

でも、何度かそういう経験を繰り返す中で「本当はそんな結果にならないようにもっと何か

できたんじゃないか」という思いもだんだん溜まっていきました。

 

そもそもがマジェルカに何かを期待して飛び込んできてくれた彼女たちです。

 

それに私自身が初めて障害がある方と共に働いてみて

(とはいってもわずかな例でしかありませんが)

出来ない事は出来ないけれど出来る事は出来る、という当たり前の事に、しかも出来る事は

私以上に(少なくとも接客は私以上にみなさん素晴らしいです、というか私がダメです・・・)

という事も見てきたりして色々と本当に考えさせられました。

 

そんなこんなで、マジェルカとして出来ないものは出来ないではなく、この際いっそ障害の

ある人を受け入れるという事を、きちんとギャラをもらって請けおう形にしてしまえれば、

これまでの「給料払ってるんだからしっかり働いて!」(言ってて恥ですが・・・)

を押し付けるだけのモードとは別に、そしてそれに応えられない人は潰れて離れて

いってしまう事にならないように、“しっかり働いてもらう”為の体制や仕組みづくりを

マジェルカでも出来ると考えました。

 

しかも、一人一人に対してそこまで高いパフォーマンスの発揮を求めなくても、関わる

人数や種類が増えればトータルとしては大きなパワーアップが望めるという確信もあります。

少なくとも、私一人で(週3日はそうなのですが)レジを打つ合間に裏で写真撮って

webショップの更新したり、商品を陳列したり、その合間には値札貼ったり発注したり、

商品の企画したり、などなどをやっていたのに比べれば一つ一つの仕事のスピードも量も

クオリティも間違いなく上がるのは明らか。

 

そんな思いや打算があっての今回の判断でもあります。

 

「打算」ってのはいわゆる損得勘定、コストバランスを考えることだともいえるのでしょうが、

「仕事」や「労働」ってものを考えた時には、雇用する側もされる側もそのコストバランスの

感覚ってのは随所で持たなければならない感覚の一つだと思っています。

福祉の世界では感覚だけで毛嫌いされがちなものですが、それは他ではないマジェルカが

事業所をやる上での価値として。

今回A型事業所をわざわざ選んだのもそこだったりするのですが、まぁ今回この点はさらっと

流します。

 

そしてまだ他にも理由はあります。

 

マジェルカは行政などから予算をもらい委託を請けている相談窓口ではありません。

ですが、全国の作業所さんやその他諸々の方からご相談をいただく事は多いのです。

本当に多いです。

それは製品の販路拡大だったり、商品作りだったり、販売の仕方だったり。。。

 

実は全国各地にそれらの役割を、しっかりとギャラをもらって付託されている

団体ってのは結構多くあります。

でもマジェルカはそんな団体さんのようによろしくお願いされてやっているわけでは

ありません。

でも多分そんな団体さんたちよりも相談って多く受けてるんじゃないですかねウチ。

ただ、ワタシ、値札貼ったりしなきゃならなかったりで結構毎日忙しいんですよ。

 

それでもワタシこう見えて結構律儀なんで、そんな相談メールなどにも基本全てに

お返事はさせてもらいます。

 

でもまぁ経験からいうと7割くらいはその後のお礼の一言でもリアクションは

ないですね。

ここ半月の間にも3件ほどそんな感じでした。

なかなかガッカリさせてくれます。

 

別にやってあげてる感というのではなく、意識が高い相手、しかも頭や口だけで

意識高い系ではなく、リアルな現場にいて1mmでも今日よりも良い明日をと

思ってるような相手とやり取り出来るというのは、自分にも刺激や力になるので、

もしかしたら今回の相談相手さんは7割の方じゃなくて3割の方かも、と期待して

対応するのですが、それがやっぱり7割だったりするとガッカリもするし正直な

気持ち無駄な時間を取られたとも感じる。

 

でも、なんだかガッカリし慣れてきました。

 

でも残り3割と巡り合った時の嬉しさはそれに勝るのでやり続けてるみたいな感じ。

 

それがもし、事業所になることで行政から報酬を頂けるようになれば、半分公営

みたいなもんだから、そんな全国の作業所さんなどからの相談事に、時間だけで

なく心の部分でももう少し余裕を持った対応が出来るかもしれないとも思うのですよ。

 

そう考えて接したら、もしかしたらことらのガッカリ度合いも少しは減るかも。

 

マジェルカはその部分のサービス提供に対して給付金頂くわけではないし、

その部分を本来のサービスとしている他所の団体さんはたくさんあるんですけど。

 

オマケです。

 

また、作業所さんからだけではなく、最近ぐんぐん増えているのは、マジェルカに並ぶ

商品やそれを作る作業所さんの情報を、マジェルカのショップやwebショップで収集して、

同じようなコンセプトのショップ(主にwebが多いようです)を開いてそれらを展開する

というパターン。

 

マジェルカがそういう方々にとっての情報集めの場になっちゃってます。

 

中には会った事も無い相手や、たった今初めましてなのに

「マジェルカさんみたいな事ワタシもやりたいからリスト下さいっ!」って猛者もいます。

 

そういえば東京都さんが今期開店したり、新たに開店しようとしている福祉ショップの

運営を請け負っている会社のご担当さんなんかも来てますよね。

しかもこっそりと。

こちらは同じ地域で同じような活動をしている同士で、出来ればご挨拶くらいはしたいの

ですがね。

(以前にメールでその旨送ったら断られました・・・涙)

 

とかとか。

 

でも結局はマジェルカに商品を出してくれる作業所さんにとって販路が広がるのがメリットに

なれば良いと、また、それがマジェルカの売り場としての価値だと考えてもいます。

マジェルカに並ぶようなモノがどんどん社会に溢れていけば良いという思いもあるし。

 

ただ、趣味ではなく、それで食べている身としてはなかなか折り合いのつけどころが

難しい部分ではあるのです。

 

でも、そこもマジェルカが公的資金を使わせてもらう立場になった際には、半公営の運営

として(こういう言い方が正しいのかわかりませんが)マジェルカの商品や取引先情報

なんてものも、「我々のような事業者は公の福祉の向上に資するのが役目でも

ありますから」なんて、高倉健っぽく「自分、不器用ですから」みたいなノリで言っちゃって、

極端な話、マジェルカを社会の共有財産として考えてしまえたら気が楽にもなるのかとも。

(とはいえさっきの猛者のような誰にでも、というわけにはいきませんので都度判断ですが)

 

ただし、どこかの団体さんのようにどこかから自動的にギャラをもらえるわけではないので、

利用者さんにお給料を払うA型事業所としては、それらの価値を内側で囲い込むのではなく

活用していくという方法もありかもです。

 

そんな考えも後付けですが今回の動機になりました。

 

 

そして最後、言ってしまいますが、妹が働ける場を作りたいという思いも。

 

この類の事はえてして聞きますが、周囲に当然に理解し共感されると思うべきではないと私は

思っているのですが、何度も言うように今回は全てを、という事で。

 

以前にもここで触れた事はありますがそんな毎回みなさま読んでくれてははいないでしょうから

改めていうと私の妹は障害者手帳保有者です。

知的障害のボーダーってやつで今は一般就労しています。

 

毎朝4時に起きてコンビニのサラダなんかの惣菜を作っています。

明日も明後日も。

自分にはとてもできませんよ。。。

 

ワタシとは違っておっとりしていて心は優しい女性です。

やれない事は多いけれど、やりたいという思いはきちんと持っています。

周りから認められたい、求められたいという気持ちは私やあなたと同様にもっています。

その相手が猫でも。。。(笑)

 

でも、というかだからというか、悲しい思いや淋しい思いは人一倍経験してきているのは、

その全てではないけれど知っているし感じます。

 

これ、本人も母親もパソコンもスマホも持っていないので、このブログなどは見てはいない

はずなので書けています。

ちなみに私たち家族には父親はいません。

 

彼女の将来を考えるのは私の役割です。

今はプレッシャーや負担とかではなく当然の事として。

 

だから今回の事は彼女の職場づくりにもなり得るかもと。

 

その事を結果的に彼女が選ばなかったとしても。

 

そして、それは彼女の為だけではなく、その他の人にとっても意味のある場にしていけるの

ではと。

 

そんな私的な考えも実のところ今回の動機に混ざりました。

 

 

今回の事業所化の判断はそんな事やあんな事が絡まり合っての事でした。

 

3回に分けて書いてきたところではありますが、ひとまずこの件ははこれでひと段落。

 

実際の動きとしてはひと段落どころではありません。

 

とりあえず、これからのマジェルカを見守ってほしいし、応援してほしいしそして色々

教えてほしいと思います。

 

知らない事はまだまだたくさんあります。

 

どうぞこれからもマジェルカをよろしくお願いいたします。

 

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