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KMです。

少し前に読んだ本について書きたいと思います。

スザンナ・ケイセン著(吉田利子訳・草思社・1994年)の

『思春期病棟の少女たち』です。

かなり有名な本らしいので詳しい方は沢山いらっしゃるかもしれません。

 

1987年に処女作を発表した著者は2作目の執筆に取り掛かろうとしたらしいのですが、青春の一時期を過ごした精神病院での出来事をいつの間にか書き始めていたそうです。時間軸にある程度は沿った分断的な短い章で構成されています。章の間にカルテ等の病院関係の書類が掲載されており、私たちが生きる世界での出来事であるという残酷な現実の印象を与えています。筆者は執筆するために弁護士に依頼しそれらの書類を病院から取り寄せたそうです。そして自分には『境界性人格障害』という病名がつけられていたことを知ります。

当時の症状がある時の心の描写、その心理状態で世界をどう認識しているのか、これらの表現の仕方が感覚的な詩のようでありながらも、病的に破綻した言語ではないので理解する事が出来て、非常に上手く描かれていると感じました。

芸術家は自分の心の底に眠っているモノを起こし、意識上に引きずりだし、突き放し、作品に昇華し乗り越えて行くのだと思います。

本作を原作とした『17歳のカルテ』という映画もあります。こちらも良い作品でしたが上記の理由から原作をまず読むことをお勧めしたいです。

 

当店マジェルカ でお取り扱いしている商品も様々な障害を持った方々が作ってらっしゃいます。基本的に商品・作品の良し悪しは障害の有無とは無関係であるべきです。

しかし作者が障害を持ち、日常になんらかの不自由を強いられている事も事実であり、創作との繋がりも否定しきれない気がします。

それが受け手側にとっては豊かな背景に見える事もあると思います。

少し見方を変えて当店の商品の魅力を感じて頂ければ嬉しいです。

 

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