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オーナーと”マジェルカ・モデル”

 「今日の調子は如何ですか?」

 

仕事開始の前のミーティングで問いかけるナベさん。「体調3、メンタル3です」と答えるメンバーたちの横で、「体調1、メンタル1.2です」と弱弱しく答える小さな声・・・(ちなみに、数値は5段階で、5がVery Good)

 

発言の主は、オーナーF。忙しい師走に入り、ちょっぴりお疲れの様子です。(>_<)

いや。弱っているのは恐らく、(思ったことをズバズバ発言する怖いもの知らずの)ミドルエイジのスタッフMに、前日、

「メンバーに対して、ちょっと厳しすぎませんか?」などと、怖い顔でクレームされたから・・・?

 

そういえば、怖い顔のMに対し、こんなことをおっしゃってました。

「でもこう見えて、家に帰った後、今日の指導が適切だったかどうか日々振り返って考えているんだ」。

「できないと決めつけて、させないこと、してあげることは簡単。でも、ウチではそれはしたくない。“押したり引いたり”という表現をしたりするけど、メンバーがどこまで応えられるか、どこが限界なのか、日々試行錯誤しながらやってるんだ。」と。

 

そしてこの日も、体調が優れず帰宅したメンバーのことを気にかけるオーナー。

 

<もっと成長できる。もっと力をつけられる。>

 

そう信じて、敢えて細かく口を出して、時に厳しくも指導する・・・

それは、親がわが子の将来を案じ、敢えて口をだして厳しく指導する姿と同じだなと思った、子を持つ母のM.

愛の鞭、というか、それだけ真剣に一人一人のメンバーに向き合ってるんだなと。

 

そして、オーナーとナベさんの愛の指導とスタッフ本人の努力の甲斐あり、一人ひとりのスタッフが日々少しずつ、着実に力をつけていることも実感しています。

 

その力とはとても幅広く、

店舗や催事での接客(といっても単なる接客に留まらず、マジェルカの場合、商品の背景を丁寧に伝える、という重要な”パブリック・リレーション”も兼ねています)、取引先との発注・受注のやり取り、Web注文のお客様とのやり取り、ディスプレー、ラッピング、イベント企画・実行に、(メンバーによっては)WebShopの運営やデザインも・・・・

 

これだけの力を身に着けるチャンスがある就労継続支援A型事業所って、他にあまりないのではないでしょうか?

 

そして、上記の力が身についてれば、他の一般の店舗で働くことはもちろんのこと、将来、自分の店舗を経営することも不可能ではない!?と思ってしまったり。(もちろんその際は経営、という力も身に着ける必要はありますが・・・マジェルカではメンバー一人ひとりに、事業を継続していくための”経営意識”も持ってもらっています。)

 

福祉作業所の素敵な製品に出会い「宝物を見つけたような気持ちで、これを沢山の人に伝えたい」という思いで、質が高くワクワクする商品を(インスタもない時代に)日本全国から集め、時に商品企画や改良のアドバイスもさせて頂きながら、作業所に対してもより多くの利益が還元できるフェアな価格を設定し、通りすがりの方にも興味を持っていただける妥協のない常設店舗を作り上げたオーナー。

 

2011年に始めた「福祉施設発の商品をフェアな価格で販売する、一般の方向けの素敵な雑貨店」という”モデル”は、その後東京都さん(2016年にKURUMIRUをオープン)をはじめ、様々なところで広がっています。

作業所製品の一般市場への“流通”という、どちらかというとこれまであまり目を向けられてこなかったところに焦点を当てた活動があちこちで広がっている今に、少なからずの影響を与えたのではないかとも。

 

それは間違いなく、オーナーがソーシャル・イノベーションを起こしたということ。(だとMは思ってます。)

 

そして、全てのスタッフに最低賃金以上を支払うことから運営が厳しいといわれ、数も減少傾向にあるA型事業所を立ち上げ、一人ひとりの成長支援(キャパシティービルディング)にも妥協せず挑むオーナー。

 

心の中では、すごいなと思っています。

 

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はい、オーナーの藤本です

 

最後の画像、「コワレモノですので・・・」というのは私のハートが繊細だという事でしょうか?

それとも危険人物として「お気をつけてお取扱い下さい」というメッセージなのでしょうか?

 

さて、こんなに持ち上げられるとなにか裏があるのではないかとちょっぴり怖くなるのですが・・・ 

 

それは冗談として、“押したり引いたり”しながら、メンバーがどこまで応えられるか、どこが限界なのか、を探るやり方というのは、それがうまくいけばいいものの、反対に強く押しすぎて相手が戻れない場所にまで落としてしまう場合もあり得るわけで、一人の人間の生き方に与えてしまうその影響を考えれば、それはとても怖いものでもあります。

実際にこれまでいくつか取り戻せない失敗も経験してしまいました。

それら一つ一つは私の上にのしかかっています。

それは当然です。

 

だから、そこに面と向かうというのは怖いし、正直いうと疲れます。

でもそういうやり方を私たちは選び、それでも取り戻せないような失敗をしないように試行錯誤しています。

 

ある日冗談混じりに「出来るって期待してアレコレするよりも出来ないと思ってやってあげた方が楽だからそうしてもいい?」なんて弱気をスタッフのナベにボソッと言ったら「ダメです!」とピシャリと言われました。

 

つい、疲れるなんて言いましたが、それは相手にとっても同じことで、マジェルカのメンバーは大変だろうなと思っています。

それは、きっと障害者として楽をしようと思えばマジェルカの他にも選択肢はあるはずだから。。。

 

でも、私たちが彼女達との接し方を選んだように、彼女達も自分でそんな大変なマジェルカを選んで通い続けているのも事実。

 

怖いとか疲れたとか大変だなんて話ばかりをしていると、いったいどんな場所かと思われるかもしれませんが、私たちは案外楽しくやっています。

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